私は、新潟大学で大学院の前期まで6年間学んだ後、県外の民間企業で製品開発や生産技術の開発に携わりました。その後、家庭の事情で新潟に戻ることになった時、大学時代の恩師から声を掛けていただいたのが、大学院後期課程進学を考えることになったきっかけです。民間企業での経験があったからこそ、これを機会に、もう一段研究員としてレベルアップしたいという気持ちがあり、進学を決めました。
在学中は、職場の業務と異なるテーマに取り組むこととなり、心身ともに大変な期間が続きました。それでも恩師や研究室の皆さんの助けがあり、何とか学位を取得することができました。在学中に参加した国際学会では、世界中の研究動向や熱量を肌で感じた一方、自分の取組にも一定の手ごたえを感じることができたのは、貴重な経験だったと思っています。
学位取得後は、中小企業支援機関などで新潟県内の製造事業者や伝統工芸を支援する業務に従事し、自ら研究に携わる機会は少なくなりましたが、事業者などからの相談に対する課題抽出や整理、対策立案のほか、産地団体、学協会や大学などと連携した活動の推進など、企業や大学と異なる立場を経験したからこその見方が今も活かされていると実感しています。