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5. 関数の計算の精度
関数の精度は簡単には判断できない。個別の関数の性質をよく理解して使用しなければならない。たとえば正弦関数では,角度が 0 付近のとき,角度の誤差は影響が大きく,90 度付近では小さい。
ここでは,化学でよく使う対数関数と指数関数について,あくまでも便宜的にルールを決めておく。
 
5.1.
 
対数関数の精度
 
演算数の全桁数を答の小数点以下の桁数とする。
 
\(\quad \log 50 = 1.70 \)
 
\(\quad \log 500 = 2.699 \)
 
\(\quad \log 5000 = 3.6990\)
 
なお,答の整数部分は演算数を指数表示(\(N \times 10^m\))したときの 10 の指数 \(m\) に等しい。
 
補足
\begin{align}\quad \log (N \times 10^m) &= \log N + \log 10^m\\ &= \log N + m \end{align}
\(1 \lt N \lt 10\) であるから,\(\log N \lt 1\)。
したがって,\(\log (N + m)\) の整数部は \(m\) に等しい。
 
この方法では,対数計算を繰り返すことにより,有効桁数が無限に増えてしまうことがあるので,注意を要する。
 
自然対数 ln の場合,常用対数 log とは精度が異なるが,簡便さを優先して同様の扱いをする。
 
5.2.
 
指数関数・べき乗の精度
 
原則として乗除算と同じように,演算数の全桁数を答の全桁数とする。平方根も同様。
 
誤差が飛躍的に大きくなるときがあるので,注意を要する。
 
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5. 関数の計算の精度