対数と指数
18/11/10 改訂
- 対数
- 常用対数 \(\log \)
- - \(10\) を底とする対数。
- - \(\log x\) は \(10^{x}\) の逆関数。
- - \(\log\) は logarithm の最初の3文字。「ろぐ」と読む。小文字で「エル・オー・ジー」と書く。
- - 水素イオン濃度指数は希薄溶液なら \(\mathrm{pH} = -\log \ [\mathrm{H}^{+}]\) と表すことができる。 \(\mathrm{pH} = 7\) なら水素イオン濃度 \([\mathrm{H}^{+}] = 1 \times 10^{-7} \mathrm{mol/L}\) であることを思い出せば,間違えることはないはず。
- - 数学の分野では \(\log\) を自然対数として扱う。しかし,それは数学の世界だけのこと。化学を含む多くの分野で,\(\log\) は常用対数である。
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- 自然対数 \(\ln\)
- - 超越数 \(e\) を底とする対数。(注1)
- - \(\ln x\) は \(e^{x}\) の逆関数。
- - \(\ln\) は natural logarithm の略。「える・えぬ」と読む。小文字で「エル・エヌ」と書く。(注2)
- - \(\displaystyle \frac{1}{x}\) の積分は \(\ln x\) であって,\(\log x\) ではない。
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- 指数
- - 印刷物では指数関数を \(e^{x}\) などと表記するが,ノートをとるときなど手書きの場合には \(\exp (x) \) のように表記する習慣をつけること。工学分野では,\(x\) の部分が分数や複雑な式になることがよくある。重要なべき数部分を小さく書くのは間違いの基になるばかりで,メリットは何もない。
- (例)蒸気圧に対する外圧の影響
- \(p = p^{*} e^{\frac{V_{\mathrm {m}}(\mathrm{l}) \Delta P}{RT}} \)
- \(p = p^{*} \exp \left( \displaystyle \frac{V_\mathrm{m}(\mathrm{l}) \Delta P}{RT} \right) \)
- - \(10^{x}\) の場合は,決まった手書きの表記法はない。しかし,小さく書くデメリットは避けたいので,Excelでの標記を流用して \(10 \verb|^| (x)\) 形式を推奨する。
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- 注釈
- (注1) 超越数 \(e\) は一般に「自然対数の底」と呼ばれる。そうすると \(\ln\) の定義は「自然対数の底を底とする対数」なる循環引用になってしまって,説明にならない。このような場合, \(e\) は「ネイピア数」と呼べばよい。
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- (注2) 1文字目は大文字のアイ(I)ではない。したがって「いん」とは読まない。
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