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半分以上隠れている円の直径の推定
顕微鏡写真で,重なっていて半分以上見えない粒子の粒径を推定したい
 
赤い円は半分以上が隠れているため,直径を直接測定することができない。
 
赤い円になるべく長い弦を引く。途中は手前の円を横切ってもよい。
 
その弦に垂直二等分線を引く。線分 \(a\) および \(b\) の長さは測定可能。
 
赤い円の見えない中心を \(O\),円弧状の点をそれぞれ\(U\),\(V\),弦と垂直二等分線の交点を\(W\) とする。
線分\(\overline{OW}\) の長さを \(c\) とする。
線分\(\overline{OU}\) の長さは半径 \(r\) に等しい。
 
ピタゴラスの定理から
\(r^2 = a^2 + c^2 \tag{1}\)
 
線分OV の長さもまた半径 r に等しいので,
\(c = r - b\)
 
これを式(1)に代入すると
\begin{align} r^2 &= a^2 + (r - b)^2\\ &= a^2 + r^2 - 2 rb + b^2 \end{align}
ゆえに
\(r = \displaystyle \frac{a^2+b^2}{2b}\)
直径は \(D=2r\) であるから
\(D = \displaystyle \frac{a^2+b^2}{b}\)
このように線分 \(a\) および \(b\) の長さから直径 \(D\) を推定できる。
 
半分以上隠れている円の直径の推定